10/03/08 織田作之助 「夫婦善哉」

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 2月の先日の街歩きのネタですが。
 上町台地は西側の松屋町筋に向って下りなのですが、台地の神社とか寺あたりからの下り坂にはいくつか名前があります。昭和初期の作家「織田作之助」によって「口縄坂」がもっとも有名のようですが、現在の口縄坂はあまりぱっとしない風情です。
 写真は「源聖寺坂」ですが、

IMGP1580.jpg

 ほかにも愛染坂とか清水坂などがあります。愛染坂にはお寺に愛染明王(愛の欲についての仏)、愛染桂なるカツラの木がここにあるらしいし、清水坂には清水寺があり、京都の清水寺と同じように3本の滝がありました。

 ということで口縄坂で高名な織田作之助の「夫婦善哉」なる小説を初めて読みました。かつて映画にもなり、「ミヤコ蝶々の・・・」というテレビ番組もありました。

 面白かった!

 舞台はは昭和15年くらいなのでわが帝国が中国から太平洋に戦線拡大せむとする泥沼一直線のとき。お国のことは一切出てこないのですが「わざと出さない」くらいの「出さなさ」。
 貧困の家から芸者として力をつけていく蝶子が妻子ある柳吉を「略奪婚」。蝶子と柳吉がミナミでデートするのに妙な安物ゲテモノの店に行ったとか、商売を始めたり儲けたり借金したり、柳吉がもともとの放蕩ぶりで散財してしまったり…。

 感動したのは、親子、夫婦、兄弟などが、艱難辛苦、愛憎うらはらなれど決して決別にならないこと。読んだ本は他に「木の都」「六白金星」が収録されてましたがいずれも、時折遠くなっても離ればなれになることはない、見捨てないという世界でした。

「夫婦善哉」の主人公蝶子はラストシーンで、さんざん苦労かけられた夫の柳吉と法善寺横町のお店で「夫婦善哉」をいただきます。1人前で小さな椀二つにぜんざいがのっていたそうですが、このシーンで私がうれしかったのは、さんざん苦労かけられてきた蝶子の「尻」が太って椅子からはみ出そうだったというくだりです。ああやせ細ってはおらぬ、たくましくやってきたんだなあ、と…。もう女性の苦労された体型には文句言えませぬ。女性のお尻で結末を語るって、すごい。
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